こんにちは。企業のITインフラを支える情報システム(情シス)担当者の皆さま、Quality Cloud 編集部 です。
「クラウドに引っ越せば、サーバーの維持費や運用コストがガラッと安くなるはず!」——そんな期待を込めて、社内システムを
そのままクラウドへ移動(リフト&シフト)した企業は少なくありません。
ところが今、情シスや経営陣の元に届いているのは「コスト削減できました!」という嬉しい報告ではなく、「毎月の請求額が想定の
何倍も膨らんでいる……」という戸惑いの声だったりします。
とりあえずクラウドへ移せば安心」と思いきや、なぜそれが予算を圧迫し、想定外のコストオーバーにつながってしまうのでしょ
うか?今回は、リフト&シフトでつまずきやすい典型的なパターンと、その解決策として今改めて注目されている「オンプレ回帰
(オンプレミスの再評価)」の動きについて分かりやすく解説します。
なぜ失敗する?リフト&シフトに潜む「3つのワナ」
「リフト&シフト」というのは、今のオンプレミス環境をそのまま大きく変えずに、クラウド上の仮想マシン(EC2やAzure VMなど)
へ丸ごと引っ越しさせる方法のことです。
短期間でサクッとクラウド化できるのが大きな魅力ですが、運用方法を整えないまま移行してしまうと、実は思わぬ落とし穴に
はまってしまうことも……。
1. 「最適化なしの常時稼働」による定額高コスト化
「システム自体は「24時間365日動かし続ける」のは基本ですが、アクセスの増減に合わせてサーバーの数やパワーを自動で調整
(伸縮)させずに放置してしまうケースがよくあります。
夜間や休日など使われていない時間帯まで、混雑時と同じ最高スペックで動かし続けてしまうと、クラウドならではの「使った分だけ
支払う(従量課金)」というメリットが活かせません。
その結果、無駄なコストを毎月固定で払い続けることに……。「使った分だけお金がかかる仕組み」だからこそ、オンプレミス時代以
上に無駄を省く工夫が大切になります。
2. 「転送量(エグレス料金)」と「ストレージ拡張」の誤算
クラウド移行で一番うっかり見落としがちなのが、「データの転送量(エグレス料金)」です。クラウドから外へデータを出すときや、
社内とクラウドの間で大きなデータをやり取りするとき、ログの同期などにそのつど料金がかかってきます。
重いファイルをよく扱う業務やデータ分析が多いシステムだと、サーバー代などの基本料金よりもネットワーク代のほうが膨らんで
しまい、予算オーバーの原因になってしまうことも少なくありません。
3. クラウドネイティブ化(最適化)にかかる隠れコスト
「ひとまずそのままクラウドに引越しさせて、後からゆっくり最適化しよう」という作戦も、実はちょっと危険です。
昔ながらの大きな一体型システム(モノリシックなアプリ)をクラウドに合う形へ作り直すには、思った以上の開発コストと時間が
かかってしまいます。
結局、作り直す余裕がないまま放置され、高額な「ただのクラウド上の仮想サーバー」として塩漬けになってしまうケースが後を
絶ちません。
コストショックから始まる「オンプレ回帰・再評価」の動向
このような「予想以上のコスト高」に直面した企業の間で、現在注目を集めているのが「オンプレミス環境への戻し」や「ハイブ
リッド構成の再検討」です。
海外の先進企業などでも、クラウドへの過度な依存を見直す動きが広がっています。
特に社内の核となる業務や大容量データを扱うシステムについては、あえて自社占有環境に戻す選択(Cloud Repatriation)が
増えてきています。
クラウドに向いているシステム・向いていないシステム
だからといって、「すべてのシステムをオンプレミスに戻せばいい」というわけではありません。
それぞれのシステムが得意なことやコストのかかり方をしっかり見極めて、まさに「適材適所」でいちばん相性の良い環境を
選んでいくことが大切だと思います。